メタロアッセイ 低濃度銅測定 LS (尿中銅定量キット)
- メタロアッセイ 銅 測定LSは、生物試料(血清・血漿・尿など)中の銅(Cu2+,Cu+)をマイクロプレートリーダー(96穴ウェル)で迅速に定量することができます。
- 本アッセイ原理は免疫抗体法ではなく、キレート定量法であるため、検体の生物種に依存しません。
- 尿を検体とする場合は前処理不要です。
- キット同梱の標準試料とブランク試料の2点により校正するため、多点校正は不要です。
- 毒劇物を含んでいないため、取扱、廃棄時の安全性に優れています。
- 名称
- 低濃度銅 測定
(尿中銅)
- 製品コード
- CU20M
CU21M
- 測定対象
- Cu2+
Cu+
- 対象サンプル
- 尿,唾液,細胞ライセート,組織抽出液など
- 測定波長
(極大波長) - 570 ~ 590 nm (582 nm)
- 測定範囲
- 2 ~ 80 μg/dL
- 測定回数
(1キット) - 100回
200回
- 価格/円(税別)
- 49,800
79,800
測定意義
銅を含むタンパク質の主な役割は酸化還元機能です。現在知られている、銅を含む酵素の殆どが分子状酸素と直接反応します。
プラズマ中の銅のおよそ95%はα-2-グロブリン、セルロプラスミン、フェロキシダーゼ活性を持つ酸化酵素と結合しています。
銅の欠乏に関連する病気として、心臓疾患、骨粗しょう症、骨関節炎、Menkes症候群、ウイルソン病などがあります。
また、生体内の抗酸化機能の低下についても報告されています。一方、過剰の銅は有毒となります。
測定原理
本法は3-5 DiBr-PAESAと銅とのキレート錯体形成による可視部の呈色を観測し銅濃度を求めます。
セルロプラスミン、及びタンパク質に結合した銅を、弱酸、変性剤により解離させ、銅-3-5 DiBr-PAESA錯体を形成させます。
この銅キレート錯体を波長582nmで測定することにより銅濃度を求めることができます。
測定方法(サンプル前処理)
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◯本キットでダイレクトに定量可能な試料
e.g.)尿
キット中の変性剤が銅をタンパクから解離させ、還元剤によって還元したのち発色させます。特に前処理は必要ありません。
*蓄尿をサンプルとする場合は、塩酸添加による保存法を行って下さい。測定の際はpHを2~3になるよう調整してください。
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◯酸抽出の必要な試料
e.g.)細胞ライセートや組織ホモジネート、その他液状試料
サンプルを低pHにすることでタンパクから銅を解離させ、上清として回収し、アッセイ検体とします。ただし、測定できるのは以下の化学種に限ります。
- 遊離銅
- タンパク結合(配位)銅( Protein-Cu2+ 、 e.g.アルブミン、メタロチオネイン)
- その他、配位結合性銅
*EDTAを含むLysis bufferは測定値に影響を与えるので使用しないでください。
*有機銅やヘム銅などは酸分解を行って下さい。
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◯マイクロウエーブ法及び有機物混酸分解が必要な試料
e.g.)EDTAなどの強固なキレート剤を含む試料、有機銅( -C-Cu-C- 単結合の場合)、環状配位子内包銅 (Cu-ポルフィリン等)を測定したい試料
酸抽出では解離してこない化学種を測定する場合や、強力な銅キレート剤などの妨害物質を含むサンプルの測定に必要です。
(各分解法に基づいて有機物を分解した後、pH2~3に調整し、定容したのちにアッセイ検体としてください。)
キット操作方法
- (1) DIW、標準液、アッセイ検体 100 μlを96 well plateにアプライ
- (2) 発色液 140 μlをwell添加
- (3) 室温で10分間インキュベート
- (4) 主波長582 nmの吸光度を測定
- (5) 以下の計算式より銅濃度を求める
製品仕様
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- 使用目的 :
- 銅(Cu2+,Cu+)の測定
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- 測定試料 :
- 尿,唾液,細胞ライセート,組織抽出液など
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- 対応している検出機器:
- マイクロプレートリーダー、紫外可視分光光度計、比色計
※キットに96ウェルプレートやキュベットなどは含まれておりません
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- 測定波長(主波長) :
- 582 nm
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- 感度のある波長域 :
- 570 ~ 590 nm
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- アッセイ法 :
- DiBr-PAESA法
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- 特異性 :
- 生物種を問いません
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- 反応条件 :
- 室温(25ºC〜37ºC)10分間
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- 保存温度 :
- 2 〜 8ºC
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- 有効期限 :
- 製造後12ヶ月
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- 共存物質の影響 :
-
100 μg/dLのFe、Znによる測定値への影響は5%以内です。
ただし、EDTAは影響を与えますので使用しないでください。
学術情報
本キット使用文献
- Hifumi E et al.
A novel method of preparing the monoform structure of catalytic antibody light chain.
FASEB J. 2016 Feb. PubMed PMID: 26527062. - Asada N et al.
Pheomelanin Formation and Low Tyrosinase Activity in Fading Body Color Variant BdlR Strain Oryzias latipes.
J Life Sci. 2014 June. - Tezuka T et al.
Cuprizone short-term exposure: astrocytic IL-6 activation and schizophrenia-like behavior.
J Pharmacol Sci. 2013 March. - その他の論文リストはこちら
弊社発表文献
- 岩渕拓也:技術情報協会(編) 微量金属分析とその前処理技術,p192-200(2015)
- 岩渕拓也、鈴木裕子:技術情報協会(編) 最先端バイオマーカーを用いた診断薬/診断装置開発と薬事対応(2015)
- その他の文献リストはこちら
【本キット参考文献(論文記載用)】
- Abe, A., Yamashita, S., Noma, A., Clin. Chem., 552-554 (1989).
- Makino T., Kiyonega. Clin. Chem. Acta, 171,19 (1988)