レドックスアッセイ 総抗酸化能(TAC)測定 キット

総抗酸化能(TAC)

  • レドックスアッセイ総抗酸化能(TAC)測定キットは、酸化ストレスマーカーである生物試料(血清・血漿・尿など)中の総抗酸化能や、飲料、食品抽出液中の総抗酸化能をマイクロプレートリーダー(96ウェル)で迅速に定量することができます。
  • 本製品は免疫抗体法ではなくキレート定量法であるため、試料の生物種に依存しません。
  • 血清、血漿を試料とする場合は前処理不要です。
  • キット同梱の標準試料とブランク試料の2点により校正するため、多点校正は不要です。
  • 毒劇物を含んでいないため、取扱、廃棄時の安全性に優れています。
  • ※ 本製品は研究用キットです。診断目的には使用しないでください。

  • 名称
  • 総抗酸化能(TAC)測定
  • 製品コード
  • AC01D
  • 測定対象
  • 総抗酸化能
  • 対象サンプル
  • 血清・血漿、飲料、抽出液など
  • 測定波長
    (極大波長)
  • 430 ~ 510 nm (490 nm)
  • 測定範囲
  • 0.05 ~ 3.0 mM
  • マニュアル
  • マニュアル
  • MSDS
  • MSDS
  • 測定回数
    (1キット)
  • 200回
  • 価格/円(税別)
  • 78,000

測定意義

総抗酸化能(Total Antioxidant Capacity : TAC)は生体中の抗酸化物質の総合的な指標です。活性酸素はDNA、細胞等を傷つけ、種々の臓器障害を惹起します。そのため生体は抗酸化物質を合成し、また外部から摂取することによって活性酸素を捕捉し、その傷害から生体を防御しています。抗酸化物質と活性酸素のバランスが崩れると酸化ストレスとなり、動脈硬化やアルツハイマーなど、様々な疾病の原因となります。

 生体中で働く抗酸化物質には尿酸やアスコルビン酸、グルタチオンなどがあり、総抗酸化能はこれらを総合的に評価することができます。総抗酸化能は試料中の抗酸化物質が銅を還元することを利用して、試料の総抗酸化能を評価するものです。生体の総抗酸化能は酸化ストレスに対する抵抗力の指標とすることができ、血清の総抗酸化能は、高血圧等の疾病により低下することが知られています。総抗酸化能は老化や疾病のマーカーとして大きく期待されています。また、血清以外にも、ワインや果汁等、飲料、食品の総抗酸化能の測定や機能性食品の評価にもご利用いただけます。

測定原理

本キットは二価の銅イオン(Cu2+)を含む水溶液と一価の銅イオン(Cu+)に特異的に反応するキレート試液で構成されています。試料を銅(Ⅱ)水溶液に添加すると、銅(Ⅱ)は試料中の抗酸化物質により銅(Ⅰ)に還元されます。還元された銅(Ⅰ)はキレート剤(バソクプロイン)と反応し、錯体を形成します。この銅(Ⅰ)—バソクプロイン錯体の吸光度を波長490 nmで測定することにより、試料の総抗酸化能(銅還元能)を測定することができます。

測定方法(サンプル前処理)

前処理プロトコル

  • ◯本キットでダイレクトに定量可能な試料

    e.g.)血清、血漿

    *EDTAを含む採血管は測定値に影響を与えるので使用しないでください

    *蓄尿をサンプルとする場合は塩酸添加による保存法を行って下さい。測定の際はpHを2 ~ 3になるよう調整してください。

  • ◯希釈が必要な試料

    e.g.)尿、飲料、その他液状試料

    試料によっては測定範囲を超える場合があります。

    参考希釈倍率表を目安に精製水・生理食塩水などで適宜希釈し、測定してください。

    前処理プロトコル

    *蓄尿は保存状態によって検体が酸化される可能性があります。冷暗所に保管し、検体を新鮮に保ち、保存料は添加しないでください。

    *随時尿や早朝尿は成分が変動するため、希釈倍率が適さない場合があります。

  • ◯抽出が必要な試料

    e.g.)植物粉末試料、組織ホモジネート

    試料中の水溶性抗酸化物を抽出し、総抗酸化能を測定します。脂溶性物質の抗酸化能は反映されませんのでご注意ください。

    *タンパク質・脂肪分の豊富な試料は測定時に懸濁する可能性があります。遠心分離などによってタンパク質・脂肪を取り除くか、希釈を行い、再度測定してください

    *メタノール抽出液・エタノール抽出液はアッセイできますが、成分によっては懸濁・沈殿する可能性がございます。その場合、抽出液にて検体を希釈して、再度測定してください。

    *油脂は測定できません。

キット操作方法

 ※使用する直前に標準試料(アスコルビン酸粉末)をラベル記載の水量にて溶解さてください。

 ※溶解させた標準液は冷凍で保管してください。

 

  1. (1) DIW、標準液、アッセイ検体 5 μlを96 well plateにアプライ
  2. (2) RA 150 μlをwellへ添加
  3. (3) 室温で5分間インキュベート
  4. (4) 主波長490 nmの吸光度を測定(OD1)
  5. (5) RB 70 μlをwellへ添加
  6. (6) 室温で5分間インキュベート
  7. (7) RC 30 μlをwellへ添加
  8. (8) 主波長490 nmの吸光度を測定(OD2)
  9. (9) 以下の計算式より総抗酸化能を求める
    AVC1D計算式

製品仕様

    • 使用目的 :
    • 総抗酸化能の測定 
    • 測定試料 :
    • 血清・血漿(EDTA血漿はご使用にならないで下さい)、飲料、抽出液など
    • 測定波長(極大波長) :
    • 430 ~ 510 nm (490 nm)
    • サンプル量 :
    • 5 μL
    • 測定範囲 :
    • 0.05 〜 3.0 mM
    • 感度 :
    • アスコルビン酸 1.0 mMの標準試料を測定したとき、ΔOD = 0.2 〜 0.4
    • 同時再現性 :
    • C.V. < 5 %
    • 特異性 :
    • 生物種を問いません。
    • 反応条件 :
    • 室温 (25 〜 37 ℃) 10分間
    • 保存温度 :
    • 2 〜 8 ℃
    • 有効期限 :
    • 製造後12ヶ月
    • 法規制 (毒物及び劇物取締法) :
    • 該当なし

実施例

  • 抗酸化物質測定例

    TAC実施例

    図1. 抗酸化物質希釈測定例

  • イネ科植物乾燥粉末測定例

    直線性

    図2. 測定結果

その他の実施例はこちら

学術情報

本キット使用文献

本キット参考文献(論文記載用)

  • Campos C, Guzmán R, López-Fernández E, Casado A. Anal Biochem. “Evaluation of the copper(II) reduction assay using bathocuproinedisulfonic acid disodium salt for the total antioxidant capacity assessment: the CUPRAC-BCS assay.” 2009 Sep 1;392(1):37-44. doi: 10.1016/j.ab.2009.05.024. Epub 2009 May 21.
  • Campos, Carlos, et al. “Evaluation of the copper (II) reduction assay using bathocuproinedisulfonic acid disodium salt for the total antioxidant capacity assessment: The CUPRAC–BCS assay.” Analytical biochemistry 392.1: 37-44, 2009.
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