- メタロアッセイ鉄測定LS(フェロジン法)は、生物試料(血清・血漿・尿など)中の鉄(Fe2+,Fe3+)をマイクロプレートリーダー(96穴ウェル)で迅速に定量することができます。
- 本アッセイ原理は免疫抗体法ではなく、キレート定量法であるため、検体の生物種に依存しません。
- 血清、血漿、尿を検体とする場合は前処理不要です。
- キット同梱の標準試料とブランク試料の2点により校正するため、多点校正は不要です。
- 毒劇物を含んでいないため、取扱、廃棄時の安全性に優れています。
- ※ 弊社製品マイクロアッセイ UIBC(不飽和鉄結合能)キットとの併用で、TIBC(総鉄結合能)の測定に応用可能です。
- ※ 本製品は研究用キットです。診断目的には使用しないでください。
製品仕様
名称
鉄 測定(フェロジン法)
製品コード
FE31M
測定対象
Fe2+、Fe3+
対象サンプル
血清・血漿・尿などの生物試料
測定波長(極大波長)
540~580 nm (560nm)
測定範囲
5 ~1,000 µg/dL
測定意義
鉄は重要な構成元素として多くの酵素中に含まれています。血中の鉄はすべてトランスフェリンと結合しており、ミオグロビン、ヘモグロビンなど、鉄を必要としているグロビンタンパク質の合成のため、赤芽球や各組織へ輸送されます。酸素を輸送するタンパク質の生成には鉄は不可欠であり、その欠乏は鉄分欠乏性貧血、慢性出血性貧血、感染性の貧血を引き起こします。また、肝炎、肝硬変などでトランスフェリンの増加、高濃度の鉄が観測されます。再生不良性貧血、悪性貧血なども鉄の増加を示します。
測定原理
本法はFerrozineと鉄とのキレート錯体形成による可視部の呈色を観測し鉄濃度を求めます。
トランスフェリン等の輸送タンパク質に結合している鉄を、試薬中の弱酸、変性剤により解離させ、 鉄-Ferrozine錯体を形成させます。この錯体を波長560 nmで測定することにより鉄濃度を求めることができます。
測定方法(サンプル前処理)
本キットでダイレクトに定量可能な試料
例:血清、血漿、尿
キット中の変性剤が鉄をタンパクから解離させ、発色させます。特に前処理は必要ありません。
※EDTAを含む採血管は測定値に影響を与えるので使用しないでください
※蓄尿をサンプルとする場合は、塩酸添加による保存法を行って下さい。測定の際はpHを2~3になるよう調整してください。
酸抽出の必要な試料
例:細胞ライセートや組織ホモジネート、その他液状試料
サンプルを低pHにすることでタンパクから鉄を解離させ、上清として回収し、アッセイ検体とします。ただし、測定できるのは以下の化学種に限ります。
- 遊離鉄
- タンパク結合(配位)鉄( Protein-Fe2+、e.g.トランスフェエリン、フェリチン、メタロチオネイン)
- その他、配位結合性鉄
※EDTAを含むLysis bufferは測定値に影響を与えるので使用しないでください
※有機鉄やヘム鉄などは酸分解を行って下さい。
マイクロウエーブ法及び有機物混酸分解が必要な試料
例:EDTAなどの強固なキレート剤を含む試料、有機鉄( -C-Fe-C- 単結合している場合)、環状配位子内包鉄 (Fe-ポルフィリン等)を含む試料
酸抽出では解離してこない化学種を測定する場合や、強力な鉄キレート剤などの妨害物質を含むサンプルの測定に必要です。
(各分解法に基づいて有機物を分解した後、pH2~3に調整し、定容したのちにアッセイ検体としてください)
キット操作方法
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(1) DIW、標準液、アッセイ検体 40 µlをwell添加
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(2) RA 200 µlを96 well plateにアプライ
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(3) 室温で5分間インキュベート
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(4) 主波長560 nmの吸光度OD1を測定
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(5) 発色液 8 µlをwell添加
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(6) 室温で5分間インキュベート
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(7) 主波長560 nmの吸光度OD2を測定
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(8) 以下の計算式より鉄濃度を求める
製品仕様
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- 使用目的 :
- 鉄(Fe2+,Fe3+)の測定
- → 弊社製品マイクロアッセイ UIBC(不飽和鉄結合能)キットとの併用で、TIBC(総鉄結合能)の測定に応用可能です。
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- 測定試料 :
- 血清,血漿,尿,唾液,細胞ライセート,組織抽出液,植物抽出液,毛髪試料抽出液,食品抽出液,飲料水,環境水,鉱水など。
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- 測定範囲 :
- 5 ~1,000 µg/dL
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- 測定波長(主波長) :
- 560nm
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- 感度のある波長域 :
- 540~580 nm
- 他の波長域をご希望の場合 → メタロアッセイ 鉄 測定 LS(ニトロソPSAP法)
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- 測定回数(1キット) :
- 200回
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- アッセイ法 :
- Ferrozine法
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- 特異性 :
- 生物種を問いません
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- 共存物質の影響 :
- 抱合型ビリルビン・非抱合型ビリルビン90 mg/dL
溶血ヘモグロビン70 mg/dL
ただし、EDTAは影響を与えますので使用しないでください。
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- 対応している検出機器:
- マイクロプレートリーダー、紫外可視分光光度計、比色計
※キットに96ウェルプレートやキュベットなどは含まれておりません。
- 生化学自動分析装置をご使用の場合 → メタロアッセイオート 鉄 N
実施例
本キットによる管理血清の測定
図1. 鉄濃度が既知である管理血清の測定結果
本キットによるブタ肝臓中鉄濃度の測定
図2. ICP-OES法と本キットによるブタ肝臓中鉄濃度測定結果
学術情報
本キット使用文献
- Chan JJ et al. A FTH1 gene:pseudogene:microRNA network regulates tumorigenesis in prostate cancer. Nucleic Acids Res. 2017 Dec 12. PubMed PMID: 29240947.
- Asano M et al. Epidermal iron metabolism for iron salvage. J Dermatol Sci. 2017 Aug. PubMed PMID: 28450059.
- Yoshinaga M et al. Regnase-1 Maintains Iron Homeostasis via the Degradation of Transferrin Receptor 1 and Prolyl-Hydroxylase-Domain-Containing Protein 3 mRNAs. Cell Rep. 2017 May. PubMed PMID: 28538180.
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弊社発表文献
- 鈴木裕子, 大槻 透, 伊藤奈月, 佐藤文平, 小出和弘, 岩渕拓也, 生体鉄研究に適用できるカラーメトリーアッセイと新規なプローブの活用法, 細胞46(1), 2014.
- その他の文献リストはこちら
本キット参考文献(論文記載用)
- Lawrence L. Stookey , Analytical chemistry, VOL. 42, NO. 7,(1970)
- 金井正光 臨床検査法提要、第32 版、p.579,金原出版(2005)